研究内容

超臨界金属流体の物性研究

気液臨界点を超える温度圧力領域では液相-気相の区別のない超臨界状態となります。 液体金属を超臨界状態まで膨張させると金属-絶縁体転移が起こります。 この転移の本質を解明するためには、構成粒子(電子・イオン)間の多体相互作用の理解が必須です。 不規則系研究室では、この問題に対して、放射光を用いて構造研究を行うなど、実験的手法を駆使することにより取り組んでいます。

図1 金属流体の温度圧力相図

クラスターの構造と電子のダイナミクス

原子・分子が集合した少数多体系をクラスターと呼びます。クラスターの物性はサイズに強く依存しており、原子・分子と凝縮系の中間相として、物質の階層性を解明する鍵と期待されます。 また、表面の割合が大きく、1つの粒子中に環境の異なる原子が存在する不均一性の強い系であり、原子レベルでの物性研究が求められます。 不規則系研究室では、局所的な励起が可能な放射光X線を用いてクラスターの物性を研究しています。 最近は、国家基幹技術であるX線自由電子レーザー(XFEL)を用いたクラスター研究を開始しており、コヒーレントX線という全く新しい光とクラスターとの相互作用についての研究を進めています。

図2 原子からクラスター、そして凝縮相への変化 金属原子1個では非金属ですが、クラスターを経由して凝縮相へと移行させる過程で金属化が起こることを模式的に示しています。